ヒイアカの悲劇~再びオアフへ

ロヒアウはヒイアカに心から感謝します。そして、まぶしい朝の光の中、3人は山を降りる 準備をはじめます。ふもとの村にかけては3本の虹の橋がかかっており、虹を渡って下に おりると、ロヒアウはまず海に入り、こころゆくまでサーフィンをして、生きていた ときの感覚を取り戻しました。

自宅では姉カフアヌイが涙を流して喜び、ロヒアウ復活の知らせをニイハウ島できいた 親友パアオも大急ぎで駆けつけてきて大宴会です。村どころか、カウアイ島の全ての住民が 宴に招かれました。ヒイアカは神殿を2つに区切り、一方は宴会に使ってよいが、 もう一方は空けておくように伝えます。なぜなら、空けておいたほうの部屋には、 ロヒアウの蘇生でお世話になった神々を呼んで捧げ物をしないといけないからです。

大宴会の司会を仕切っているのは、マラエハアコアです。人々はみな口々にヒイアカたちの 美しさも褒めちぎります。が、ヒイアカは、もう1人すばらしい美人がハワイ島で 待っていると応えます。しかしペレの名を出したとたん、カフアヌイとパアオの顔は 曇ってしまいました。彼らは、ロヒアウにハワイ島なんかに行って欲しくはないのです。

しかし、ロヒアウは自ら、「私の命は、一度は消えた命だ。今後、生きるとしても、 死ぬとしても、とにかくこの2人についていく。申し訳ないが、パアオ、お前はここに 残ってカウアイ島をうまく治めてほしい」と宣言するのです。

実はロヒアウは、ペレよりも、命がけで自分の命を回復してくれたヒイアカやワヒネオマオに 好意以上の気持ちを抱きつつあったのですが、さすがにそれは口に出しては言えません。

マラエハアコアにも別れの挨拶をし、3人はハエナ岬から出航することにします。 船の都合もあって、3人が同じ船に乗ることはできず、ヒイアカは単独で、オマオとロヒアウが ペアとなって、オアフ島プウロア(真珠湾)で落ち合うことにしてそれぞれ別々に出航しました。

ヒイアカが1人船に乗っていると、海中に2匹のモオの姿が。思わず身構えるヒイアカ。 しかしこの2匹、クアとカホレアカネはペレ・ファミリーの遠い親戚。単に挨拶にやって 来ただけだったのですが、殺気立ったヒイアカを見て「この孫に殺される・・」と誤解して 逃げていってしまいました。

結局船は何事も無くオアフ島に到着。ヒイアカは、お世話になったポハク・オ・カウアイに 心からお礼を言い、しばらく歩いてポハケアに着きました。ここまでくれば遠くにハワイ島が 望めます。そして、目を凝らしてみたところ、とんでもないものが目に飛び込んできました。

約束の期限40日をとっくに過ぎていることに怒り狂ったペレが、焼き払っていたレフアの 森の上に溶岩を流し込んで跡形も無くしてしまっただけでなく、あれほど大事にしてくれと お願いしていた親友ホポエまでをも溶岩に飲み込ませて岩にしてしまっていたのです。

立ち直れないほどの衝撃を受けたヒイアカ。しかし、とりあえず、待ち合わせの場所へと向かいます。

一方、ロヒアウとワヒネオマオは、小さな船で肌を寄せ合って船を漕いでいたところ、 船の中でロヒアウがオマオに言い寄ってきます。オマオは口づけまでは許しましたが、 それ以上は絶対に許さず、最後にはロヒアウも邪念を払って、船を漕ぐことに専念しました。

ページトップへ戻る