モロカイ島でも、キキプアというモオを倒したりして手間取りましたが、幸い、オアフ島に
向かうという船を見つけることもでき、すぐにオアフ島に向かいます。
カウナカカイから出発したのですが、ヒイアカたちは船の船頭とはどうも相性が良くない
ようで、この船頭もまたヒイアカたちの美しさに心奪われてしまいます。
しかし、彼は一応、礼儀正しく、マカプウに到着して船から彼女たちを降ろすや否や
自分の妻を呼び出してその場で離婚を宣言。ヒイアカとオマオの2人に正式に結婚を
申し込んできたのです。
もちろん彼女たちがそんな提案を受けられるわけがなく、可哀想とは思いながらも
その場を後にします。考えてみればヒイアカたちも罪な女性なのかもしれません。
マカプウからはオアフのコオラウ側(北側)を進みます。この地方は天候不順なことが
多く、激しい雨が彼女らの行く手をさえぎります。
2人がクアロアという場所まできたとき、ここでもまたモオが出現します。
モコリイという巨大なモオですが、動作は鈍く、一撃で倒すことができました。
そこに現れたのがカウヒという名の老人。これまでモコリイには散々ひどい目にあっていた
のを救ってくれたことで2人にお礼を言いにきたのです。
ところが2人が名乗ってびっくり。なんとこの老人は、ペレやヒイアカたちと一緒に
カヒキからわたってきた一行のひとりだったのです。しかし老人で体力がないため、
オアフ島まで来たところで、ずっとここに留まることにしたのだということでした。
カウヒも気持ちは、ヒイアカたちに同行していきたいようでしたが、何しろ体力がないので
足手まといになるかもしれず、この地でヒイアカたちの無事を祈りつづけるということで
お別れです。
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その後2人は順調に旅を続け、ラニロア岬からライエを通過、最北端を回ってワイメア川を
渡り、ついにカエナ岬に到達します。
実はこの地は、ペレが夢の中でロヒアウたちのドラムの音をきいた場所。
目指すカウアイ島も目前です。ここにはまた、ポハク・オ・カウアイという、
カウアイから飛んできたといわれる大きな岩があり、しかも人なつこくヒイアカたちに
話しかけてくるではありませんか。
親切なポハク・オ・カウアイはなんとカヌーまで用意してくれ、ヒイアカたちは
意気揚々とカヌーに乗り込みました。しかし、喜びも束の間、ペレからの使いだという
精霊から便りが届き、ヒイアカたちの足の遅さに怒ったペレは、ヒイアカの大切に
していたレフアの森を焼き払ってしまったというのです。
ショックを受けたヒイアカですが、とにかく、ここまで来たからにはロヒアウを連れて
帰らないわけにはいきません。カウアイ島のほうに目を凝らすと、ロヒアウが精霊と
なって彷徨っている様子もうかがえます。
2人は、カウアイ島のハエナに到着しました。
そこには足の不自由な酋長、マラエハアコアが住んでおり、その日も奥さんに背負われて
海岸まで行き、漁をはじめたところでした。
彼を見ていたヒイアカは、彼のために魚を寄せて大漁にしてやり、さらにまた、
強い力を念じて、彼の足を直してやったのです。
マラエハアコアの喜びはひとしおです。早速自分の足で家に戻り、村の人々にも手伝わせて
お祝いの宴会を開きます。彼は自分の足を直してくれたのが、近くで自分を見ていた
ヒイアカたちであることに気がついており、人をやって宴会に招き、心からお礼の
チャントをうたいます。
マラエハアコアは常々、女神ペレを尊敬し、信仰していたのですが、ヒイアカがそのペレの
妹だということがわかると、これこそが天の引き合わせ、これから先、自分は一生
ヒイアカのしもべとして仕えることを誓うのでした。