ハワイの神話と伝説~神話伝説の探求者~神話伝説の普及に向かって

■Mary Kawena Pukui

Beckwithと直接協力関係にあったPukuiですが、Beckwith没後は、Pukuiの時代であったといっても過言では無いかもしれません。 彼女自身の著作もありますが、むしろ彼女が協力・監修することによって完成することができた書籍がどれだけ多いことか!。 彼女が「living treasure」という賞賛を浴びていたのも頷けます。

ハワイ語辞書のスタンダードとして現在でも評判の高い「Hawaiian Dictionay」(Pukui, Elbert:1957)と、これまた地名辞典のスタンダードとして名高い「Place names of Hawaii」(Pukui, Elbert, Mookini:1966/1974)。Caroline Curtisとの共同作業で完成した、ハワイ伝説シリーズ、Hawaii Island LEGENDS Pikoi,Pele and Others(1949初版)、The Water of Kane(1951初版)、Tales of the MENEHUNE(1960初版)、そしてまた、

Kamakauの項でご紹介した「Ka Po'e Kahiko」、John Papa Iiの項でご紹介した「Fragments of Hawaiian History」の原文翻訳、また、詩歌・フラに関する名著「Na Mele Welo - Songs of our heritage」、「'OLELO NO'EAU - Hawaiian proverbs and poetical saying」、「HULA - Historical perspectives(Dorothy Barrere, Pukui, Marion Kelly)」等々々々、戦後に出版された主要文献には必ずといってよいほどPukuiの名前が出ているのです。

彼女の文体はとてもわかりやすく、特にCaroline Curtisと出した上記の本は少年少女向けの神話伝説集として再版を重ねています。

1895年ハワイ島カウの生まれ。「Polynesian Family System in Kau,Hawaii(1958)」 という、昔のハワイの習俗を生き生きと描写した本がありますが、これも当然Pukuiが関わっています。
Pukuiは結婚後の姓で、もとはMary Kawena Wigginといいました。父親はマサチューセッツ・セーラムの出身でその先祖には 著名な女流詩人Anne Bradstreetがいます。母親は純血のハワイアンで、その父は医療を行うカフナであり、また、母は著名なクムフラでした。 Kawenaも小さい頃からこの祖母からフラの手ほどきを受けて育ったということです。

ホノルルで学校教育も受けましたが、19才のときに結婚したりして、最終的に神学校を卒業したのは27才のときでした。 15才のときには、すでにLaura Greenとのコンビでハワイの歴史や伝説の翻訳作業をはじめていたといいます。

Pukui (14才頃)

ほとんど半世紀に渡ってBishop博物館のアソシエイトメンバーであり、館長であったAlexanderからも「ハワイの歴史に 関する傑出した学者」であるという絶賛されています。生涯を通じて、ハワイの神話伝説の普及に貢献し続けたのです。

他にも、神話伝説の普及期の研究者として忘れてはならない人を2人、簡単に記します。

■Samuel Hoyt Elbert

Na Mele o Hawaii Nei Selection from Fornander

1907年インディアナ州生まれ。Pukuiと並び、「another living treasure」と言われることもあった、ハワイ大学の先生です。Hawaiian Dictionary、Place Names of HawaiiというPukuiとの共著辞書が有名ですが、彼自身もハワイの古詩の収集家で、Noelani Mahoeと共同収集した成果をまとめた「Na Mele o Hawaii Nei」という名著もあります。また、膨大なFornander Collectionからの抜粋で「Selection from Fornander」も出しています。

■Dorothr Barrere

彼女も有名なハワイ学者で、「HULA:Historical perspectives」など、Pukuiとの共著もありますが、1969年の「the Kumuhonua Legends」で有名です。この本はクムホヌア伝説を紹介している本ではなく、「クムホヌア」伝説を 捏造してしまうに至ったFornanderの誤謬を徹底的に論破している本なのです。
Kumuhonua Legends.
本というよりは論文風
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