ハワイの神話と伝説~ハワイの伝統植物~キー・オヘ・ハラ他

■キー(ティー)
ティーリーフはいまでは園芸種が多く、いろど りも様々ですが、本来のものは明るい緑色 をしています。

ティーリーフには、魔よけや防腐機能など不思議な力があるとされ、神事に際しては、供 え物を包むのに使われました。また、食べ物はこの葉で包んでウムで蒸して食べました。 屋根を葺いたり染料にしたりレイやパウ、さらにはサンダルにも使われるなど、日常生活 に欠かせない植物でした。

ティー・リーフは「ライ」と呼ばれます。雨に強いとことからレインコートが作られ、山 の上などでピリが生えないところでは、ライが山小屋の屋根を葺くのに利用されました。 また、ロノのためのヘイアウ(ハレ・オ・ロノ)の屋根はライで葺くことになっていたと いいます。ライで作ったサンダルは丈夫なので、鋭くとがった岩肌の溶岩などの上を歩く こともできました。

伝統的な建物の周りには魔よけとして植えられることが多く、現在でも、家の周りや、エ レベーターの中などに、犯罪防止のお守りとして植えたり活けたりされています。ただし、 本来の色のもの以外は魔よけ効果は無いとのことです。

戦争の際には、カフナがティーの茎を持ち歩き、これが振られると停戦の印となりました。

■アヴァ(カヴァ)
アヴァといえば、有名なのはアヴァ酒です。アルコール分は含みませんが、鎮静作用など で「酔う」ことができるため、ポリネシア全般、ミクロネシアでも愛好されました。ミク ロネシアでは、「シャカオ」などと呼ばれ、根をすりつぶしたものを飲むだけですが、ハ ワイはじめポリネシアでは、唾液である程度発酵させたものを飲んだようです。

アヴァ酒の造り方は、まず、木炭を溶かした水で口をよくすすいで口の中を清潔にします。 次に、小さく切ったカヴァの根を、時間をかけて柔らかくなるまで噛み、口いっぱいにほ おばる量の5回分を約1.5リットルの水に混ぜ、アフアワの繊維で濾過します。

この液をひょうたんの容器に入れ、赤く熱した石を放り込み、加熱して殺菌。さましたあ とに飲みます。見かけも味も泥水のようですが、重労働後の筋肉痛を取り、元気回復。鎮 痛剤(麻酔剤)、鎮静剤、睡眠薬としての効果もありました。習慣性はありません。

クック船長がハワイに来航したとき、ハワイアンたちはクックのためにアヴァを噛み砕い て差出したところ、クックはそれをちゃんと飲みほしたということです。 葉のほうは供え物としてもよく用いられました。

■ハラ(パンダナス、タコノキ)
ココヤシと並んで、100%利用された有用 木です。 葉はラウハラといい、編んでマットやバスケット、団扇、枕、サンダル、帽子などにされ ます。カヌーの帆に使われることもありました。これらを作るラウハラ編み、 といわれる 仕事は、伝統的に女性の仕事とされていたようです。

ハワイの伝統的名家屋は、「ピリ」という草で、草葺の家にするのが通常でしたが、ピリ が少ないときにはラウハラで家の屋根を葺くこともあったといいます。

ハラには雄の木と雌の木があり、幹の硬さがずいぶん違います。硬い雄の木の幹は家の柱 に使われることもありました。雌の木はパイナップルのような実をつけます。

■オヘ(竹)
日本の竹とは少し違い、やや細めの竹がハワイでは一般的です。よくしなることを利用し て、釣竿や、家の構造材に用いられました。竹の皮は白いカパ布のスタンプとか裏地に使 われ、幹はするどくカットしてナイフが作られることもあったようです。

ご存知のように竹には節があり、この節をうまく利用することによってさまざまな楽器も 作られました。

■ワウケ(paper Mulberry:こうぞ)
ポリネシアの伝統的な樹皮布、「カパ布」の材料としてワウケの樹皮が多く用いられまし た。きれいな樹皮を得るために、若枝はどんどんカットされて、太くまっすぐな木が育つ ように調整されたといいます。

■イプ(ひょうたん)
ハワイでは、ポリネシアのどの地域よりも多く のひょうたんを栽培してきました。非常に 大きな実(イプ・ヌイ)はカパ布などを保存する衣裳ダンスとして使用され、そこまで大 きくは無いものは、荷物の運搬用として用い られるものもありました。(ウメケ)

カヌーに積み込まれると、船が転覆しても中の荷物を濡らさずに守ってくれるので便利で、 しかも浮くため、航海の際には、漁師は釣糸と釣り針をひょうたんの容器に入れて漁に出 たといいます。

ヘイアウなどの祭壇の下におかれてネズミ除けにもされたようです。普通は天然そのまま の色で使用されますが、なかには凝った装飾を施されるものもありました。 ジョン・ウェバーの有名な絵、例の恐ろしい形相のマスクもひょうたん製です。

ハワイの伝統文化にひょうたんは欠かせないもので、実にさまざまな楽器の材料とされま したが(第6章参照)、19世紀以降に入り込んできた害虫のせいで、現在、ハワイでは ひょうたんがほとんど取れず、フラで用いる楽器の需要を満たすためにカリフォルニアや メキシコから輸入されている状況です。

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