古代のハワイでの身分・階層は下記のようになっていたといわれています。
【カライモク】
アフプアアでの最高権力者はアリイ・アイ・アフプアアですが、その下にはカライモクと
呼ばれる執行責任者がおり、最高位のカフナと並んで酋長の補佐にあたりました。税の徴
収、恩賞の配分、灌漑工事や農地開発などの責任者であり、王宮の倉庫の管理も任された
ということです。通常は「無欲な性格」であることが多かったといいます。
【コノヒキ】
もともとはアフプアアの代表者、という意味でしたが、カメハメハ3世のグレートマヘレ
以降は大地主という性格に変わっていったようです。通常は酋長の、信頼できる親戚筋が
任命され、カライモクの下で、アフプアアの管理と税の徴収などを行ったといいます。税
は通常、食物のかたちで納められましたが、マカヒキのときにはカパ、マット、木製品、
工芸品なども徴収されたようです。
面白いのは、コノヒキはアフプアアの住人ではなく、任命されて着任していたということ
です。コノヒキは農作業・漁業の現地指導などを行なう一方、徴兵や、王のための職人探
しも大事な仕事であり、いわば人事権を持っていたようなものでしたので、アフプアアの
住民とあまり親密だと癒着の温床にもなりかねません。そこで、コノヒキは通常よそのア
フプアアの住人で、かつ、一定時期が来ると「転勤」していったようです。
【カフ】
直訳すると「守護者」というような意味になります。カフ・アクアはヘイアウの管理と保
護、カフ・ワイは水源の管理と保護などを行い、また、王家の子供達の家庭教師にもなり、
儀式の作法や神話、系図、航海術、スポーツなどを教えました。通常は、王の親戚筋の信
頼できる人間が任命されましたが、現在では、教会の牧師を指したりもするようです。
【ハク】
家族集団の長のことをハクといい、家族会議での最高決定権を持っていました。
【マカアイナナ】(平民)
直訳すると「土地の人」ということで、人口の大半はマカイナナでした。農民も、漁師も、
大工も、兵士もみなマカアイナナだったというより、1人のマカアイナナがあるときは農
民であり、またあるときは大工や兵士になったりしていたというのが実態のようです。
平民は、もとはそう多くなかったという説もあります。ハワイではしょっちゅう戦争が起
きていましたが、戦争をして負けた際、王そのものは殺されたものの、その周辺の人々は
平民として離散した結果、数が増えたのだといいます。犯罪を犯して階級を剥奪された酋
長や貴族も平民になりました。
平民は、コノヒキや酋長によっていつでもその土地から追い出される運命にありましたが、
逆に、そのアフプアアでの暮らしがつらい場合はいつでも別のアフプアアに移動できると
いう権利も持っていました。
21世紀の現在では、古代ハワイ王朝の純粋な血統などというものは存在せず、ハワイの
全ての住民はマカアイナナといえるかもしれない(Handy,1931)という説もあります。
【カウア】しもべ
「私は皆様方の僕であります」といった用法で現代でも使われる言葉で、王家に勤務する
人々は「王のカウア」と呼ばれました。(kauwa kua kahili)
一方、カプを破ったことなどで追放され、人里はなれたところで暮らすことを余儀なくさ
れた人々もカウアと呼ばれました。この場合は追放者、というような意味を持ち、最も貧
しい荒地で暮らさなければならなかったものの、決して奴隷ではなかったようです。
ただし、ヘイアウにいけにえが必要になったときには、カウアの土地に使いが出され、彼
らが犠牲として選ばれたともいわれています。現在では、カウアと呼ばれる人々は残って
いません。