戦いの神の神として有名なクーは、ルアキニタイプといわれる、
生贄が必要なタイプのヘイアウ(祭祀場)に 祀られました。ハワイの土産物店や、最近ではグアムなどでも売られている「Tiki像」は、たいてい、 クーの像をモデルにしたもので、見るからに恐ろしい形相をしています。
クーにはさまざまな種類があり、ハワイのネイティブの学者であるサミュエル・カマカウは29種類もの
クーを分類したといいます。なかでも有名なのは「クー・カイリモク」と呼ばれる、土地を奪うクーで、
カメハメハ大王が先祖から受け継いで信仰しました。
カメハメハの叔父で、当時のハワイ島の王であったカラニオプウが息を引き取るに際して、その遺言で
ハワイ島そのものは息子のキワラオに譲ったものの、主神であったクー・カイリモクは、見るからに
強く、将来の見込みもありそうな甥のカメハメハに譲ってしまいました。
そのことに腹を立てたキワラオは、カメハメハに戦いを挑みますが、逆に簡単に敗れてしまい、ここから
カメハメハの、ハワイ全島統一に向けての戦いが始まったのです。
物騒なクーだけでなく、漁師が祭るクウラという神も実はクーの仲間でした。クウラは、人間の姿のときには
東マウイに住んでいたといい、ハワイに数多くある養魚池の、最初のものを作ったといわれています。
クウラは、「コア」と呼ばれる、漁のための祭祀場に祀られましたが、これは、写真のように非常に
簡単なつくりのもので、ハワイ全体で数千箇所にあったとされています。
クウラの息子のアイアイもまた漁師の神で、アイアイはまた、アイアイ・クウラカイという、ハワイの人々に
はじめて漁を教えた伝説の漁師の父親だということです。
また、昇る太陽はクーであり、沈む太陽は女神ヒナ(英雄マウイの母として有名な月の女神)であるとされます。
クーとヒナは対で登場することが多く、夫婦であることもしばしばです。
カフナが植物を集めるときや、古代のフラ・ハラウで祭壇に祀る植物を集めるときには、クーとヒナそれぞれに
祈りを捧げてから開始するのが通例でした。そのときにはクーが右手、ヒナが左手に宿ったとされています。