
■200年前のトラベルライター William Ellis
1823年、カメハメハ2世の治世の頃、William Ellisは宣教師団の一員としてハワイ、当時の呼び名で
サンドイッチ諸島を旅して回りました。ハワイに来たのは初めてでしたが、彼は語学の天才でまたたく間に
ポリネシア語をマスターし、そのおかげで、現地の人々からハワイの神話や伝説を聞くことができたようです。
彼はこのときの旅を「Journal of WILLIAM ELLIS ; A Narrative of a tour through Hawaii in 1823」という本
として出版しました。1820年代にアメリカおよびイギリスで出版されたものが、1917年になって
ハワイでも再版されています。
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| William Ellis | Narrative Tour (1917年版) |
この本には、以下のような伝説が収録されています。
・キラウェア火山と女神ペレ一族の伝説
・女神ペレと豚神カマプアアの戦い
・カメハメハとケオウアの戦いでペレがカメハメハに味方したという伝説
・ハワイにかつてあったといわれる大洪水の伝説
・族長カハワリ達のホルア遊びでペレがカハワリに襲いかかる伝説
・マウナケアの山頂に登ったものは石になるという伝説
・夫に殺されたカウェロヘアの声が聞こえる岩の伝説
・巨人カルアオカラニの伝説
・カメハメハの亡霊
など約20編。
これらのうち、いちおう物語の体裁になっているのはカハワリの伝説くらいのもので、あとはみな要約、
というか、あらすじの紹介です。これらは、記録として残された最も初期のものであり、大変に
価値のあるもののはずですが、Ellisの語学力の自信が逆に災いしたのか、もとのハワイ語での
記述が無く、いきなり英語で抄訳が紹介されているために、学術的な価値は今ひとつとされています。
しかしながら、この本は旅行記として読むと大変にエキサイティングなものであり、あちこちで噴出する熔岩とか現地の人々
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| 付録のハワイ島地図 |
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の様子を細かく描いた挿絵、詳細な折込地図もついており、当時の欧米の人々が、未知の国のエピソードに胸をときめかせながら
この本を手に取ったであろうことは容易に想像されます。
また、(当時の)ハワイ語の文法が巻末に紹介されています。面白いのは、当時(1823)のハワイ語表記です。
ハワイ語の子音は現在では「k,h,l,m,p,n,w」の7文字と紹介されるのが一般的ですが、この本では子音は
12種類もあるとされています。(上記プラスb, d, r, t, v)。
このうちbとp、kとt、lとrは互換(interchangeable)ということで、この本に紹介されているカメハメハ2世のサイン
(写真:お世辞にも上手とは言えない気が・・)もTamehamehaとなっています。
ポリネシア全域では「k」よりも「t」が使
用されているようですので、その影響もあるのでしょうね。
■Lord Byron
同時期にハワイを訪れた宣教師、Lord Byronもまた訪問記を残しています。
ロンドンで1826年に出版された「Voyage of H.M.S. Blonde to the Sandwich Islands」
という本がそれです。この本には「ロノの歌」という貴重な叙事詩が収録されていますが、いかんせん、
Byronの興味はキリスト教への改宗活動そのもののほうにあったようです。(当たり前といえば当たり前ですが。。)


