
ハワイ島(Big Island)を旅行すると、いろんな場所で写真のようなペトログリフに行き当たります。
人間や動物、カヌーや魚など、昔の人々の風俗習慣が、とても素朴で味のある表現で描かれています。

文字を持たなかった古代ハワイの人々にとって、ペトログリフはどういう意味があったのか、
そもそもこれは絵なのか、象形文字なのか、昔から考古学者や歴史学者を悩ませてきました。
また、最近では、「ロック・アート」という、芸術の一分野としても成立しつつあるようです。
ペトログリフのさまざまな謎については現在でも明確な結論は出ていませんが、ここでは、
「PETROGLYPHS OF HAWAII」(Likeke R. McBride著)を底本として、
ペトログリフに関する興味深い話題をいくつかご紹介します。
ペトログリフとは、ギリシア語のpetros(石、岩)と、glyphe(彫刻)が組み合わされた言葉で、
「岩面彫刻」などと訳されます。古いものでは1万年前のものがヨーロッパの洞窟の中に見られるなど、
世界中に分布しており、たいていは石器時代の文化として扱われることが多いようです。
(フランス:ラスコーの洞窟壁画とか、
昔、学校で習いましたね^^;)
よく似たものにピクトグラフ、というものがありますが、これは、岩面を削るのではなく、岩面にペインティングを施したものです。
日本でペトログリフ(一部でペトログラフとも言われている)というと、神代文字とか、超古代文明など、
ちょっと現実離れした世界と結びつけて語られることもあるようですが、学術的にはあまり意味はないようです。

ハワイのペトログリフは、世界的に見ると比較的新しいものが多く、大ざっぱには、数百年くらい前のものが多い、
と、とらえていればよいようです。また、アメリカ・インディアンの遺跡にもハワイのペトログリフと大変よく似た
モチーフのものが見られるため、昔、ハワイの人々はアメリカ(北米)大陸から移住したのではないか?という説もあったようですが、
現在では否定されています。
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ペトログリフを残すには、ある程度柔らかい岩石が必要なのですが、ハワイの場合、「柔らかい岩石」は、いくらでもありました。
そう、火山の噴火と共に流れ出た熔岩が、最適なキャンバスとなったわけです。ちなみに、熔岩は、その見かけによって、
表面が滑らかな「パホエホエ」、と、表面がゴツゴツした「アア」に分類されて呼ばれますが、キャンバスとして
よく使われたのは、当然、「パホエホエ」タイプの熔岩です。
ハワイ語で、ペトログリフはカハキイ(kaha-kii)と呼ばれます(注)。kaha(ひっかく、削る)とkii(絵)が組み合
わさった言葉で、面白いのは、砂の上に書かれた模様もまたカハキイ、と呼ばれることです。紙も文字もなかった
古代ハワイでは、ヘイアウの設計図などは、都度、砂の上に描かれていたということです。ハワイ島(BigIsland)の
ヒロに、ココナツアイランドという小さな島がありますが、この島と対岸を結ぶ砂州は「one-kaha-kaha」(絵描き砂)と
呼ばれていたそうです。
(注)最近では、明示的にペトログリフを指すハワイ語として、kii-pohaku(石絵)という単語も使われるようになったそうです。
砂の上に書かれたカハキイはすぐに消滅してしまいますが、永遠に残りそうな岩面のカハキイも2つの理由で、
存続が危ぶまれています。1つめの理由は、キャンバスを大量に提供してくれる火山が、せっかく書いた絵の上にもう1回、
キャンバスを提供してしまうことが結構多いこと。(ハワイならでは、ですね^^;)もう1つの理由は、極めて人為的な理由ですが、
土地開発、リゾート開発など、ペトログリフのあった場所が造成されてしまうためです。
しかし、
コナ・ビレッジ・リゾートのように、ペトログリフの保存に力を入れ、逆手に取って観光資源として活用できている
リゾートもあります。
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さいごに、ペトログリフの観察の方法について、「PETROGLYPHS
OF HAWAII」の序文の最終節をそのまま引用します。
ペトログリフを観察するのに最適なのは早朝か日暮れ時です。
太陽の光が横から射すことによってペトログリフも一層見やすくなりますし、なんといっても日陰のない
ペトログリフの岩場では日中の暑さは大変だからです。ハワイの人々にとって、ペトログリフは大切な遺産です。
岩場を歩くときには、そっと注意深く歩き、尊敬とアロハの気持ちを込めて接するようにして下さい。
※画像出典:上から順に
http://www.culture.fr/culture/arcnat/lascaux/en/(ラスコー壁画のサイト)
http://www.geocities.com/CollegePark/Campus/2713/index.html(アルバカーキのペトログリフ公園)
http://www.hawaii.ne.jp/keiki/bisland/20000926.htm(音丸のBigIslandひとり旅)