ハワイの神話と伝説~英雄マウイ~マウイと八つ目のペアペア

あるときマウイが漁に出て、大きな魚と格闘していたときのことです。ふと島の方に目をやると、妻のクムラマが、八つ目のペアペアに連れ去ら れていくところでした。当然マウイは追いかけて捕まえようとしますが、間に合いません。ペアペアは彼の妻を遙か彼方の島の方へと連れ去って しまったようです。

マウイが困っていると彼の祖母がやってきて、こんなときは奥地にいるクオロケレという老人を訪ねてごらん、と教えてくれました。マウイは出 かけていき、ワイパフを見下ろす場所のあたりで、この老人に会うことができました。老人はせむしでした。これを見たマウイは大きな岩を老人 に投げてやり、背中をまっすぐに直してやります。

元気になった老人はマウイと仲良くなり、次のように指示します。鳥の羽と、ティの葉と、イエイエの蔓の繊維ををたくさん集めること。それら を、この家いっぱいにつめこむこと。マウイがそれらを集め終わると、老人はマウイに、いったん家に帰って、3日後に戻ってくるように言いま す。

1日目、老人はおもむろにイエイエの繊維でティの葉をくくりはじめ、中が空洞になった大きな鳥の人形をこしらえます。2日目、若干の食料を 詰め込んでのテスト飛行です。すこぶる順調。3日目、マウイがやってきてみると、素晴らしい鳥が完成しています。

早速マウイは鳥に乗り込み、ペアペアの行方を探しに行きます。2日間の旅の後、とうとう、モアナ・リハ・イ・カ・ワオケレという不思議な島 に到着します。とても美しい島です。人々は皆、海岸に集まっていました。みんなもマウイの鳥に気がつきますが、ペアペアは「あれは俺の鳥だ 。誰も手を出すんじゃないぞ」と言っています。マウイはこれを聞き、わざと人々の方に近づいて、とらえられます。さっきのペアペアの指示が あるので人々は手を出さず、マウイの鳥を大きな籠に入れて、ペアペアの家に担ぎ入れたのでした。

やがて夜になり、ペアペアはマウイの妻クムラマと一緒に寝床に入ります。マウイはチャンスを待ちますが、何しろペアペアには8つの目があり ます。最初の目が眠りにつき、次に4つの目が閉じられ、残り3つです。しかしこの3つの目は、どうしても眠りません。もう夜明けが近づいて きて外は少し白み始めます。

困ったマウイはヒナにテレパシーを送り、助けを求めます。ヒナは、いったん明るくなりかけた夜明けを、再び暗くしてくれます。そして、残っ ていた3つの目のうちの2つが眠り、とうとう最後の目も疲れて閉じられてしまいました。

・・その瞬間!マウイは鳥から躍り出てペアペアの首を切り落としてしまいます。そしてクムラマを連れてオアフ島の方向に飛び去ります。風は 激しく吹き、雨は滝のように降り注ぎますが、鳥の飛行機はびくともしません。こうして2人は再びオアフ島で幸せに暮らしたということです。

The story is pau. オワリ。

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