ハワイの神話と伝説~英雄マウイ~マウイ、島を釣り上げる

マウイは4人兄弟の末っ子として、兄さんたちと漁をして暮らしていました。
その頃、漁に使う釣り針は、高貴な人や勇者が死んだ後の骨で作るのが普通でした。マウイも釣り針を持っていましたが、それは「魔法の釣り針 」と呼ばれる、冥界にいるご先祖様から授かった特別製のモノでした。

しかし、マウイはこの釣り針で漁をしていたわけではありません。何か特別なときのために使うものであることがマウイにはわかっていたからで す。

もともとマウイは漁がへたくそで、兄さん達に頼んでも、なかなか漁に連れていってもらえませんでした。ある日、無理矢理カヌーに乗り込んだ ときも邪険に断られ、岸まで泳いで帰る羽目になってしまいました。ところがその日は、兄さん達の戦果も「サメ1匹」と惨憺たるモノで、マウ イはここぞとばかりに「僕を連れていっていれば、ウルアとかピモエとか、ざくざく釣れたのに」と責め立てます。

翌朝、兄さんたちは、渋々マウイを連れて漁に出ます。・・・・しかし、釣れたのはサメだけ。「え?どこにウルアがいるのかな、マウイ君」と 兄さんたちはからかいます。そこでマウイが取り出したのがくだんの釣り針です。母ヒナに捧げられていたアラエ鳥を餌とし、おまじないを唱え ながら海に投げ入れます。

・・・するとたちまち海鳴りが始まり、とてつもなく大きな「引き」が来ました。その手応えはあまりに大きく、2昼夜にわたって釣り糸は張り っぱなしです。そして、やっと糸がゆるみ始めたころ、マウイは兄さんたちに「もっと引いて!」「決して後ろを振り返ってはダメ!」と指示し ます。なんと彼らは島そのものをつり上げつつあったのでした。

しかし、兄さんたちの1人が振り返ってしまいます。たちまち糸はたわみ、釣り針は海に沈み、大きな島はその頂上を海の上にのぞかせただけで 止まってしましました。
この、マウイが途中まで釣り上げた島が、ハワイ島ヒロ湾に浮かぶ小さな島、ココナツ島だということです。

※他の言い伝えによれば、島を引っ張っていたのは餌になっていたアラエ鳥で、この有様を聞いたヒナがあわてて駆けつけ、アラエ鳥を救おうと します。しかし、釣り針に深く引っかかっていたアラエ鳥は簡単にはとれず、その羽はバラバラになってしまいました。そのせいでハワイ諸島は 今のように小さな島の集まりになってしまった、ということで、もしもこのときアラエ鳥がそのままの姿で引き上げられていれば「ハワイ大陸」 になっていたかもしれない、そうです。

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