ハワイの神話と伝説~神話伝説ライブラリー~ハワイの歴史

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ANCIENT HAWAII  Herb kawainui Kane, Kawainui Press, ISBN 0-943357-02-0, $12.50,1997 
全110ページ、フルカラーのとても美しい本。
古代ハワイの人々の習俗習慣、例えば、航海術、家の建て方、カパ布での織物の作り方、漁法などなど、どれも美しい挿し絵でとてもわかりやすく解説している。
また、ハワイ人の起源、ということについては、海流との関係を踏まえたTahitian Conquestとして説明している。
楽園考古学  篠遠喜彦/荒俣宏、平凡社ライブラリー、ISBN4-582-76316-2, \1300, 2000/1
ドクター・シノト、という名前でポリネシア全域で有名な、ビショップ博物館の篠遠喜彦博士に、荒俣宏氏がインタビュー形式で話を聞きながら編集した本。
篠遠博士は、ポリネシアの古代史を、「釣り針」を編年の基準にすることで解き明かす、という
画期的な手法の開発者。若い頃の苦労話なども多くて、結構「読ませる」本になっていると思う。
HAWAII'S STORY BY HAWAII'S QUEEN  Liliuokalani, Tuttle, ISBN 0-8048-1066-4, $10.95, 1991(1964)
ハワイ王朝最後の女王、リリウオカラニによって書かれた本。HAWAII'S STORYとはなっているが、内容的には著者の子供時代からの思い出、ハワイ王国存続を願っての思いなどを、エッセイ風に綴った本。1893年、女王は強制的に幽閉され、ハワイ王国は終焉を迎えますが、この本は、幽閉された宮殿の中で執筆されたものです。

ハワイの国歌とでもいうべき「アロハ・オエ」を作詞したのもリリウオカラニですが、小さな国の熱烈な愛国者が、強大なアメリカ帝国主義に跪いてしまった悲しい物語です。
カラカウア王の ニッポン仰天旅行記  W.Armstrong、翻訳解説:荒俣宏、小学館、ISBN4-09-387116-7、1995/04初版、\2,800

随員アームストロングによって記録された、ハワイ国王カラカウアの世界一周旅行記。荒俣宏の解説と、豪華な資料・写真によって、実に豪華な歴史読み物に仕上がっています。
明治維新後、日本政府はじめての国賓となった外国元首は、実はハワイの国王であった、という事実をご存じでしたか?しかも、明治天皇との単独・極秘会見において、カラカウア王は、日本の山階宮定麿王と、ハワイ王家のカイウラニ王女の婚姻の提案まで行っていたのです。
ハワイ最後の君主となった悲劇の女王リリウオカラニは、カラカウア王の妹です。歴史に「もしも」は禁物、とはよく言われますが、もしもこの婚姻が成立していたら、と思うと、想像力がいくらでも膨らみますね。。

SHOAL OF TIME
A HISTORY OF THE HAWAIIAN ISLANDS
 Gavan Daws, Univ of Hawaii Press, ISBN 0-8248--0324-8, (1974)

タイトル(時の浅瀬?)からはちょっと想像がつきにくいですが、1778年のクック来訪から、1959年のハワイ立州まで約180年の、たいへんきちんとした歴史書です。
ハワイ史というのは、いろんな文献の一部に簡単に述べられることは多いですが、ハワイ史としてこれだけきちんとまとめられた本は、結構貴重なのではないでしょうか?参考文献だけで600冊!あまりの本が記載されています。
ハワイ・さまよえる楽園  中嶋弓子、東京書籍、ISBN4-487-75396-1、1998/03初版2刷、\2,718
帯のコピーから:「南海の楽園の誕生から現在までを克明に描いた初の通史」。
上記の「SHOAL OF TIME」との違いで述べれば、この本のjほうが、「現代」に、より重点を置いている。ハワイ王朝終焉までの物語は比較的あっさりと流れていき、第2次世界大戦後の多民族社会、ハワイアン・ルネッサンスなど社会問題に深く切り込んでいる。
イメージの楽園 山中速人、ちくまライブラリー、ISBN4-480-05174-0、1992/05初版、\1,400
これまた、クックの第3次航海から、現在にいたるまでのハワイ通史を簡潔にまとめた本。話の1つの軸として、「いかにして観光地ハワイ」が醸成されていったか、というテーマがあり、ドールの共和国時代に改正?された法律によってワイキキの開発が始まり、また、最近の米軍収入減少の代替策として、大衆化されたハワイを日本はじめ各国に宣伝するようになった背景など、非常に興味深く読める本。

ホノルルからの手紙 ハロラン芙美子、中公新書、ISBN4-12-101228-3, \738, 1995
アラモアナ裁判、客家(はっか)の系譜、「作家達の南太平洋」など、いくつものエピソードを紹介しながら、社会的な問題を掘り下げている。全体に、ちょっと、とりとめがないカンジはするが、知識が拡がるのは間違いない、という意味で、神話伝説のコーナーでとりあげた荒俣宏氏の本と(テーマは全く違うが)共通する印象がある。
ハワイの歴史と文化  矢口祐人、中公新書1644、ISBN4-12-101644-0 2002.6, \840
山中速人著「イメージの楽園」と並んで、ハワイの歴史と文化、表舞台と楽屋裏について包括的にまとめられている本。著者自身の主観が結構顔を出す点が、好き嫌い分かれるところかもしれない。
THE HAWAIIAN KINGDOM 1,2,3  R.S.Kuykendall, University press of Hawaii
カイケンドールが40年を費やして記したというハワイ史の金字塔。全3冊からなる大著(なにしろ、参考文献のページだけで100ページ以上あるのだ)で、1778年のクック来訪から1893年のハワイ王朝滅亡までを、さまざまなエピソードも交えながら詳細に記している。
A CONCISE HISTORY OF THE HAWAIIAN ISLANDS  Phil Barnes, Petroglyph press
上記の本とは対照的に、クック以前の古代ハワイからリングル州知事のハワイ州に至る歴史を80ページほどでまとめてしまっている本。 とはいえ、このくらいだと楽に通読できるので、ハワイの歴史を概観したいという人には本当にオススメ。その後、興味を持ったテーマについて色々調べてみるのに良いかもしれない。
BATTLE OF NU'UANU  Neil Dukas, Mutual
1795年、カラニクプレの統治するオアフ島に攻勢をかけたカメハメハ大王はヌアヌ渓谷での凄惨な戦いを経て勝利し、事実上、ハワイ王国が成立した。この本は、その戦跡を巡るガイドブックであるのみならず、当時の武器や戦い方、文化的背景(マナの力など)も解説している。
HEART OF A HERO:CHARLES REED BISHOP  Peter Galuteria
Bernice Pauahi王女と結婚し、Bishop Museumの設立で知られるBishopだが、彼はハワイからの搾取を繰り返した多くの白人たちと異なり、王女の没後もハワイ王家のために心を砕き、ロイヤルファミリーの一員として数多くの事業を行った。彼のハワイ以前、ハワイ以後も含めた伝記。
DAVID KALAKAUA  Ruby Lowe, Kamehameha School Press
世界一周旅行を行い、日本に立ち寄ったことでも知られるメリー・モナーク、カラカウア王の伝記。表面的な事実の列挙にとどまり、あまり深い記述は無いが、写真も多くて楽しめる本。
KAMEHAMEHA III:KAUIKEAOULI  Jean Cachola, Kamehameha School Press
カメハメハ3世、カウイケアオウリの伝記。即位当時はまだカアフマヌが摂政として君臨していた時代だったが、まさに彼の治世のときに初めてハワイの近代化が進んだといってよい。現代ハワイ州のモットーにもなっている「Ua mau ke ea oka aina i ka pono」は、一時的にイギリスに不法占拠されたホノルルに無事帰還したときの彼の言葉。
HAWAII CHRONICLES Bob Dye, UHPress
HONOLULU MAGAZINEという雑誌に掲載された記事をピックアップしてまとめた本。古代ハワイから太平洋戦争頃までの内容が含まれている。雑誌記事だけあって読みやすく、タイトルも印象的なものが多い。(The Lost Hawaiian Island、など:カウラ島のこと)
HAWAIIAN GENEOLOGIES Edith McKinzie, UHPress
ハワイ王朝の系図本。始祖ハロア(タロイモの兄弟ですね)から始まって19世紀後半くらいまでの系図が「文字だけで」記述されている。わかりにくさは類を見ない。ハワイ王朝の系図がひとめでわかるという意味では、本ではないが、ビショップ博物館謹製の系図が見やすくてオススメ。
TO STEAL A KINGDOM  Michael Dougherty, Island Style Press
刺激的なタイトルなので、小説か?と思われるかもしれないが、ハワイ史についての立派な解説本。参考資料や出典の紹介も丁寧。また、何といってもハワイ王朝時代に活躍した王家の人間以外で、Hiram Bingham,Herman Melville,Gerrit Juddなどにかなりのページを割いていることが特徴。
THE INEXTINGUISHABLE TORCHES  Malcolm Chun, First Peoples Production
David Malo、S.N.Hale'ole、S.M.Kamakauという、ハワイ王朝初期に活躍したハワイ・ネイティブの3人の学者たちの伝記。ハワイに初めてアルファベット、というか文字そのものがが導入されるや否やこういった学者たちが膨大な書物を著していったということには驚かされる。3人とも、当サイト内のあちこちで参照されている人たち。
ABRAHAM FORNANDER  E.Davis, University press of Hawaii
ハワイ神話・伝説についての「Fornander Collection」で知られるAbraham Fornanderの伝記。スウェーデン生まれ、駆け落ちの末、捕鯨船員となってハワイへ来たFornanderが、神話歴史研究家として名を残した背後には波乱の人生があったようだ。Fornanderの主張した「説」は異端とされているが、その考え方や発想には共感を覚える。
IMAGES OF AMERICA - WAIKIKI  K.White,J.Kraus, Arcadia publications
19世紀中頃~20世紀前半頃までのワイキキの変遷を豊富な写真(かなり貴重)で紹介した本。昔はワイキキは文字通り(ワイ・キキ:噴出する水)、湿地帯でタロイモの水田だらけだったこともよくわかる。
NA LEO I KA MAKANI  Lalani Vaugham, Mutual
副題はHistoric Photographs of Hawaiians of yesteryearという写真集。なぜか空港の書店で6.99ドルで投売りされていたのだが、内容はすばらしい。カメハメハ王家の人たちの写真から19世紀当時の人々のくらしぶり、現代のメリーモナークフェスティバルまで、歴史的な写真が満載。
HAWAIIAN JOURNEY  Joseph Mullins, Mutual
上記と同じ、Mutualから出ている歴史写真集。カメハメハ以前(さすがにこのあたりはWebberの画)から20世紀のハワイアンルネッサンスに至るまで、写真だけでなく解説も結構詳しい。1894年7月14日付けで「ANNEXATION(併合)」を大きく伝える新聞の一面も載っている。
Tales and Traditions of the People of Old(1991)  Samuel Kamaku - Mary Kawena Pukui(訳)、Dorothy Barrere(編)
原題は「Na Mo'olelo a ka Po'e Kahiko」。Legendsシリーズ3冊目です。Kamakauが1865年にKuokoa紙に連載した記事の英訳です。内容は3部に分かれており、第一部が、ハワイのバーチャル・ツアーの体裁を取ったさまざまな伝説の紹介、第2部・第3部が神話も混じった歴史モノです。本の体裁も綺麗で、全てのページにあしらわれているイエイエのデザイン(写真下のほうにも見えます)はSig Zaneのデザインです。写真はBishop Museum Press(2000)。
Fragments of Hawaiian History(1959)  John Papa Ii - Mary Kawena Pukui(訳) Dorothy Barrere(編)
John Papa Iiもまた、ラハイナルナを母校としたハワイの高級官僚です。この本では、カメハメハの全島統一の頃から、1830年代にわたるハワイの歴史を、同時代者の目で、当時の習俗とともに記述した貴重な本です。神話伝説の本、というのとは少し違いますが、重要なモチーフを提供していると考えます。写真はBishop Museum Pressの初版第2刷(1963)です。
Ruling Chiefs of Hawaii(1961)  Samuel Kamakau - Kamehameha School Press
ハワイの歴史を、カメハメハ1世の8代前のUmi王の時代から記述した歴史書です。ラハイナルナ出身者としてご紹介したKamakauが1866年から1871年にかけてKuoka紙に発表した記事を英訳して整理したものがこの本です。Mary Kawena Pukuiが翻訳全体の監修を行っていますが、ほかにも注釈者としてMartha Beckwith、さらにはDorothy Barrere、,Caroline Curtis、Thomas Thrumという豪華メンバーが参加しています。
白い孔雀  よしだみどり、文芸社、ISBN4-8355-3694-0、2002年
副題をそのまま書くと、「ハワイ王朝滅亡の歴史とともに描く美貌と孤高のプリンセスの物語」。
プリンセスとは、カイウラニ王女のこと。カラカウア王が日本の山階親王との縁組みを画策した美しい姫、ということでご存じのかたが多いかもしれません。

しかしカイウラニは単に美しいだけではなく、数カ国語にも堪能で社交性も抜群、ハワイ国民だけではなく欧米諸国からも極めて評価の高い女性だったのです。
王国末期、やや偏執狂的なナショナリストとなったリリウオカラニ女王に替わって、彼女が女王に立っていればハワイ王国はもう少し延命できたのでは?と思わずにいられない本です。

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