ハワイの神話と伝説~フラ・ハラウ~ハラウを支えた組織

昔のハワイの社会では全てのものは酋長の所有とされていました。土地も水も空も全てで す。このような、いわば小さな絶対君主制のもとでは、フラ・フェスティバルのようなも のを開催したり、組織的な支援をするのは酋長以外にありえません。

とはいえ、フラを王室お抱えのものだけだと考えてはいけないようです。フラには極めて 民主的な面もありました。酋長によって誰かが指名されてフラのグループを組織する、と いうことはなく、非常に自発的な集まりであったようです。ただし、新しいグループを結 成した場合には、儀礼上、酋長に対して必ずお披露目をしたということです。

フラが演じられるのも、必ずしも酋長に対してのみではなく、基本的には「楽しい」もの であったので、村のあちこちで気ままに踊られることもあったようです。人気のあるフラ・ ダンサーは王室から様々な褒章を貰えることもあったし、一般の人々からも尊敬を集める 存在であったといわれています。

フラのもとになるメレを作詞するのは大変なことでした。特に王室に関する言葉遣いにつ いては、下手をすると命にかかわる問題にもなりました。ですので、一度確定した歌詞は 決してアレンジされること無く、正確に繰り返し伝承されていったようです。

フラの組織においては、クムの権限は絶大で、フラの訓練の全責任を持つと同時に、企業 のビジネスマネージャーのような性格も併せ持っていました。優秀な生徒になりそうな男 女をスカウトし、スポンサーとしての王室から、支援を引き出すという仕事です。

スポンサーとしての酋長からは、任命されたカフナが監督をかねてフラ・ハラウに赴き、 宗教的な儀式を行ったといわれています。(コクア・クム

ほかにも、フラの組織の中には、生徒達によって呼ばれてくるポオ・プアアという役があ り、罰金集めや、祭壇のメンテナンスなどを行いました。ホオ・ウルはハラウの番人で、 ハラウに入る人に聖水で「お清め」を行う係でした。
さらに大きなハラウでは、料理人や漁師、樵や水汲み係などを雇っていたといいます。

組織、というのとは少し違いますが、フラの演じ手は大きく2種類にわかれます。
(1)オラパ:主として若者
    優雅さと美しさを体で表現する。小さな楽器は踊りながら使う。
(2)ホオパア:主としてベテラン
    大きな楽器の担当。通常座ったまま。
    ボーカルおよびテンポ担当。非常に責任が重い役割。

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